地元に別れを告げる
父の仕事の都合により、市内への引越が決まった。今後父が転勤になっても、私はもう社会人だからここに戻ることはない。
引越先は偶然にも大学そば。今まで往復3~4時間ほどだった通学時間が嘘のように短くなる。中心市街地に近いから遅くまで飲めるし、市内の行きたいお店や書店巡りなど、たくさん遊べる。良いことだらけだ。
しかし、父の転勤で市内から越して14年住んだここは、もはや地元である。上記で強がったが、やはり寂しい。
14年前、小学生だった私は、全く知らない土地であるここに行くことを拒んだ。引っ越すまでは、学校でも家でも泣き続けた。引っ越した後も、教科書に新しい小学校の名前が書かれていることが嫌で、上から前の小学校の名前を書くほどだ。
14年経った今、ここは大事な地元である。市内から帰り、地元に来た人は皆気分を害するようだが、駅そばの工事の匂いを嗅ぐと落ち着く。その匂いで、地元に帰ってきたと入学当時は思えたほどだ。
よく周囲の人に言われるのだが、私の地元の人間は個性的な人が多いそうだ。その最たる例が私のような気もするが。そんな私が育ったところを見たい、という大学の友人までいる。
長かったここでの生活だが、やり残したことがたくさんだ。行きたいお店に行けていないし、全国花火大会も現地に赴いたことはない。今年の花見ランニングもしていないし、そもそもまた桜が咲いていない。少なくとも花火大会以外は、今いるうちに叶えたい。
だが引越準備も進めないといけないし、もちろん就活だってある。時間はない。残された時間を有効に使い、ここに別れを告げたい。
写真は、個人的に地元を代表するものを厳選して載せさせていただいた。